桃の生産量日本一の町として知られる笛吹市。生産者たちはそれぞれ、栽培や販売方法を工夫し、美味しいフルーツを全国に届けています。今回ご紹介する「モリタファーム」は、家族で営む小さな農園。農家の娘として生まれ育ったEmiさんは、海外からUターンして就農。山梨で、「キッチンカー」にいち早く目をつけ、自社農園で採れた桃をベースにしたスムージーの販売を始めました。
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モリタファーム
Mattさん
Emiさん
結婚後、オーストラリアで4年間暮らしたのち、ふたりで笛吹市にカムバック。祖父の桃を残していきたいというEmiさんと、笛吹の桃の美味しさをより多くの外国人観光客に知ってほしいというMattさん。自社農園で収穫した桃をベースに作られたスムージーを移動販売しているホワイトとピンクのキッチンカーは、神奈川・東京で開かれるマルシェの引っ張りだこ。
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海外に住んでいたからこそわかる、笛吹の桃の美味しさ
桃で有名な山梨県の中でも生産量トップの笛吹市で、1948年から桃を専門に栽培している桃農家「モリタファーム」。家族代々で農業に携わり、生産から販売、そしてSNSを通して商品の魅力発信を自ら行っています。
農林水産省がスタートさせた活動「農業女子プロジェクト」のメンバーでもあるEmiさんは、5年前にオーストラリアから帰国し、就農。国をまたいだUターンの理由を尋ねてみました。
「オーストラリアにいた頃は毎年当たり前に食べていた桃が食べられなくなり、恋しくなっていました。海外に出たからこそ、笛吹市の桃の素晴らしさがわかりました。甘さも、香りも、見た目も、日本と同じような桃は海外にはありませんでした」
Emiさんの実家の桃農園は彼女の祖父がはじめたもの。
「各地で騒がれている農業の後継者問題は他人事ではありませんでした。高齢になった祖父母が畑に行けなくなったら、桃畑がなくなってしまうかもしれない……と思ったら、寂しくて。主人の理解もあり、オーストラリアから帰国してふたりで実家の農園の手伝いをすることにしたんです。不安な気持ちと、期待する気持ちが半々くらいでした」
ニュージーランド人の夫がくれた事業のヒント
桃農家の悩みは、商品にすることができない桃が多いこと。
「ほんの少し傷がついていたり、収穫がおくれて熟しすぎてしまっていたりすると、もう商品にはならないんです。もったいないなあと思いました。でもね、収穫おくれの実というのは、木で熟している分美味しいんですよ。どうにかしたいなあということを、帰国前からも思っていました」
解決に踏み出す案をくれたのは、Emiさんの夫で、ニュージーランド人のMattさんでした。
「海外の人って、よくスムージーを飲むんですよね。主人もスムージーが大好き。そこでヒントになったのが『Emiの家の桃だったら、すごく美味しいスムージーができるね』という夫のひとことでした」
そこからふたりで事業として計画。“なるべくたくさんの人に笛吹市の桃の美味しさを知ってもらいたいから、移動販売にしよう”と、キッチンカーでの販売をはじめました。
桃農家だから実現できる贅沢なスムージー
桃をスムージーというかたちで販売することの良さは、誰もが気軽に手にできるという点にもあります。
「最近は果物を買わない人が増えたと感じています。それは、食べ慣れていなくて美味しさを知らないからかもしれないと思うんです。実際、キッチンカーで販売を始めて私たちの存在を知ってから、桃を買ってくださる方が増えています」
5年前に移動販売を始めた当初は、桃の販売も行っていたEmiさんとMattさんのキッチンカー。当時から外国人のお客様も多く、桃の大きさや甘さに感動する方が続出していたそうです。
キッチンカーのデビューは、笛吹市の「桃源郷まつり」。その頃はめずらしかったキッチンカーでのフード販売も今ではポピュラーになりましたが、モリタファームは図抜けた存在。県内はもちろん、神奈川の「横浜北仲マルシェ」や東京の「太陽のマルシェ」など、個性豊かな食べ物が集まるイベントでも人気を博しています。
「よく他店のスムージーでは甘さをだすためにバナナをベースに用いりますが、私たちはバナナを使いません。桃農家ですから、ベースに桃を使用したスムージーを多く開発しています」
一番人気は、桃を丸ごと1つ使った『モモスムージー』。桃そのままの香りとやさしい甘さ……。
『モモスムージー』をいただき、「もう1杯ください」というお客様が多いということに、完全に納得できる美味しさを実感しました。
キッチンカーで不特定多数の人に山梨のフルーツの美味しさを届ける
スムージーの新作やキッチンカーの出店情報はInstagramやFacebookにアップ。すると、遠方から「これが飲んでみたくて」と訪れる人が少なくないといいます。
「もともとキッチンカーを始めたのは、不特定多数の人に山梨の美味しい桃の味わいを届けたいと思ったから。インターネットで見つけて、実際に足を運んでくださる方がいるというのはとても嬉しいです。あとは、対面で販売できるのもキッチンカーの良さですね。主人はよくお客様に話しかけられています」
最後に、Mattさんに笛吹市の暮らしについて尋ねてみました。
「山梨はニュージーランドと風景がちょっと似ています。山がいっぱいなところとか。野菜や果物はとても美味しくて、人は懐っこい。朝走っていると近所の人が声をかけてくれることもあります。外国人観光客の方にもっと山梨や山梨の桃のよさを知ってほしいと思います」
山梨の美味しいフルーツを手軽に、日常に。ホワイトとピンクのキッチンカーを見つけたら、モリタファームのふたりにしか実現できない果実感満点のスムージーをぜひ。
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\Mattさん、Emiさんに会いに行ってみよう!/
店舗名: モリタファーム
電話番号: 055-264-2765
キッチンカーの出店スケジュールは下記にてご確認していただけます。
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